<要旨>- 補佐役の定義トップの弱点を補い、その非を諌め、その意思決定と決断を補完し、その負担を軽減する役割と機能を果たす人たち1)トップの弱点を補い、トップが働きやすい環境づくりをする。2)トップに非がある場合、その非を諌め、軌道修正する。3)適切なる情報の提供と、適時に適切なる提言を行うことによって、トップの意思決定と決断を補佐する。4)トップの分身としてビジネスの第一線に立つことで、トップの負担を軽減する。このほかに「二代目(後継社長)を教育し、補佐する」という役割を果たしている補佐役もいる。- 名補佐役に恵まれたときにはじめて、トップはその力を存分に発揮できる-日本には江戸時代から脈々と継承されてきた「番頭」の存在がある。- 戦後日本には大きく分けて5つのタイプの補佐役-「大番頭=日本型補佐役の筆頭」「ご意見番=孤高の実力派補佐役」「トップの女房役=トップの忠実なる補佐役」「右腕型補佐役=トップの分身」「懐刀=黒子型補佐役」がいて、それぞれがいわゆる“番頭機能”を分担する形で、トップを支え、会社を支えてきた。- これらの日本型補佐役と番頭機能(補佐役機能)は江戸時代に生まれ、明治時代に拡充・強化されたものを基本としていて、欧米企業には見られないものである。- 補佐役とは“つらい人”なのである。- 補佐役はNo.2の地位にあっても、次期トップ候補ではない。- 補佐役の五大要件1)補佐役は、すぐれたる臨床家であれ。2)補佐役は、手ごわい人であれ。3)補佐役は、人間通であれ。4)補佐役は、バランス感覚の持ち主であれ。5)補佐役は、達観し、行動する人であれ。- 補佐役の五大実務1)大番頭、女房役として、トップが働きやすい環境づくりをする。2)女房役、右腕として、フロント・バンガード(前面防衛的処理)の要となる。3)女房役として、トップの“心の調整”をする。4)右腕、懐刀として、トラブルの処理に身を挺する。5)大番頭として、二代目(後継社長)の補佐をする。